最近の話、大雪の日に心療内科に行った話

真夜中にTwitter上で「大丈夫? 話聞くよ!」とリプライをもらって、その字面だけでひとしきり泣く、というだいぶ不健康な夢を見た。ここ数日、なかなか調子が悪い。自分がいつもどうしようもない気分に陥るのは、一通り嵐が過ぎ去ったあとだ。特別悲しいことはここ数週間起こっていないし、仕事もややヒマくらいだ。そういう時ほど落ち込んでしまうのは、緊張の糸が切れてしまうからだろう。

週末も友人や恋人といる時は楽しく過ごせていたし、そんなに落ち込んでいるようにはみえなかったと思う。一人でいるとどんどん気分が落ち込んでしまう。でも、誰かといたいわけではない。精神的にはきついけど「一人でとことん落ち込みたい」と思っている節もあるのだ。落ち込みのリミッターを解除して膿を出しているのかもしれない。

 

最近、いとうせいこう×星野概念の『ラブという薬』を読み始めた。いとうせいこうさんが、□□□のサポートメンバーであり、精神科医でもある星野概念さんのカウンセリングに通っていて、そこでの対話を本にする…という一冊。いとうさんが□□□の「00:00:00」という曲のリハーサル中、時報を流すために117に電話をかけようと思ったら119にかけてしまったそうで、それを見た星野さんが「そういうことには理由があるもんですよねー」と言ったのがカウンセリングを受ける発端になったという。その何気ないけど切実なエピソードがあの曲の祈るような空気感とぴったり重なって、最近は□□□をよく聴いている。

 


□□□(クチロロ)/00:00:00 short ver.

 

まだ読み始めて序盤だけど、星野さんは静かに話を聞いてくれていいなあと思う。
つい最近、じつは自分もひそかに会社を休んで心療内科に行ったことがある。東京に大雪が降った月曜日のことだ。月曜日はもともと体が動かなくて、ベッドから出られなかったり、会社に着いても仕事が手につかなくなりがちだった。その日は特にひどく、交通機関の乱れという後押しもあって「週末から風邪ひいちゃって」と嘘をついて、仕事を休んだのだった。

午前中はずっと眠って、昼過ぎに起きて「いつまでこんな日を続けるんだろう」と思った時、心療内科に行こうと思った。以前、動悸がしんどくて近所の総合内科に行った時、ストレス性のものだと診断されたことがあって、一度きちんと行かないとな、と思いながら、予約がとれなくてそのままになっていた。多分、いまを逃すとまた忙しさを理由にして行かないだろう。当日に診てくれる病院をiPhoneで見つけて、雪の中を出かけた。

あたたかい待合室に座り、名前を呼ばれるのを待つ。心療内科はどこも予約でいっぱいだから、当日診療ができるところは混み合っているのかと思ったけれど、それほど待たずに診察の時間がきた。待ち時間に整理していた話を、つらつらと話す。医者は一通り話を聞いたあと、「今あなたはとても淡々と話されている。それだけのことがあっても平然としていられるなら、あなたはかなり強いのではないでしょうか。皆さんたいてい泣きながら話されますよ。あなたに治療や薬は必要ありません」と言った。診察は5分程で終わり、2000円ほどの初診料を払って帰った。

淡々と話しているのはブログやEvernoteで書いていて内容が整理されているからだし、もともと感情が顔に出ないこともある。それに、このままでは平然としていられなくなりそうで怖いからその手前で受診したのだ。医者の語り口に少し警戒してしまって、その主張をすることはできなかったのだけど、「ぶっ壊れてから来い」と言われたようでむなしかった。

言われてみると、確かに自分は人よりもかなり精神的に強いと思う。でも、それは負荷がかかってないということでも、壊れないということでもなく、我慢強いというだけだ。もちろん、誰もが何かしらのストレスを抱えていると思うし、耐えられる人が耐えることは大切だと思うのだけど……。そんな瞬間最大風速的に制御不能になりながらしんどさを伝えないと認めてもらえないなら、多分自分は一生認めてもらえないだろうなと思う。だけど、少しでも優しい言葉をかけてくれていれば、泣きながら話せたかもしれないんだけどなあ。共感するって超大事。

お医者さんとの相性もあると思うし、どこでもこうした反応をされるとは限らないから、気にしすぎないほうがいいのは頭ではわかっている。でもちょっと、力が入らなくなるできごとだった。

 

なんだか心療内科ネガキャンみたいになってしまって、助けを求めている人の足をすくませてしまうかもしれない。でも、結果はどうあれ本当にやばくなる前に行ってみる、という自分の判断は今でも間違っていなかったと思うし、しんどいなら行ってみるのは良いと思う。自分も『ラブという薬』を読み進めるごとに違うとこにも行ってみよう、という気持ちが強くなってきてます。僕が行ったところもネットの評価はそこそこ高くて、行ってみないと自分に合うかどうかわからないので、それは疲れることだと思うんだけど……。でも、疲れることだからこそ、もうあと少しでもダメージ受けたら壊れちゃう状態になる前に手を打つべきなんだよな。

『ラブという薬』の前半では日本社会にはなかなか気軽に心療内科にかかれない雰囲気がある、ということも対話のテーマにしていて、その段階でつまづいてしまっている人の気持ちをほぐしてくれる内容になっている。読んでみると少し世界の見え方が穏やかになると思います(自分もまだ読みかけなのだけど)。解決策があることに気付けるというか。悩みが解消されたわけじゃなくても、視界が開けただけでほっとすることもあるだろう。オオクボリュウさんのイラストもかわいい。自分も近所のなかなか予約がとれないけど良さそうなクリニックに、なんとか日程を合わせて行ってみようかな〜。