金麦と待ってる

金麦の「幸せの、あいあい皿。今年もお届け。」キャンペーンを頑張っている。金麦1缶につき1枚ついているシールを48枚集めると、応募者全員に2枚セットのお皿が当たるというもの。

「山崎春のパン祭り」はシール24枚で皿1枚なので、キャンペーンとしては順当なのだけど、この「2枚セット」というのがめちゃめちゃ憎い。自社製品の文脈をわかっている。これは一人で集めるものではなく、二人で集めるものなのだ。キリンの「47都道府県の一番搾りキャンペーン」を集めてたけど、妻に言われて半ばしぶしぶ金麦に切り替える夫の姿が見える。冷蔵庫に整列して貼られたピンク色のシールを数える妻の背中が見える。「もう箱で買っちゃえばよくない?」「それじゃつまんないじゃん」などの会話を交わしているのが見える…

 

集めているのはシールではない。共同作業の喜びだ。夫婦じゃなくて、離れて暮らす恋人同士でもいい。僕らもそう。

帰り道のコンビニで金麦を買うとき、恋人のことを思い出す。家に着いて飲みながら、いまなにしてんのかなー、と考える。白いテーブルのふちに雑に貼られていた「47都道府県の一番搾りキャンペーン」のシールは捨てただろうか、今は何枚くらい集まったのだろうか、あんま集まりすぎてても心配だな、そんなことを考えながら、自分もウォルナットのテーブルにシールを貼り付ける。

 

誰かを思い出す瞬間はかけがえがない。恋人はスターウォーズが好きだからお店でグッズを見かけたりすると思わず眺めて思い出すし、多分あっちもあっちで若手バンドの名前を聞いたらあいつは知ってるかな、とかいちいち思うのだろう。好きなものや話したことは生活にあざやかな付箋をつけて、それがどんどん増えていく。

あの青い皿が届いたらどんな料理を作ろうか。サントリーにお金もらってるわけでもないのにキャンペーンに乗せられすぎてバカみたいだけど、バカみたいなのが一番楽しい。たかが2枚の皿でこんなに盛り上がれるのが嬉しい。